名誉館長鈴木のプロフィール
2019年4月から館長としてお世話になっている鈴木です。3月までは信州大学理学部に勤めていました。もともとの専門は水文学や雪氷学と呼ばれる分野で、水循環やそれに伴う物質循環を研究していました。海から蒸発した水蒸気が雲の中で雪となり地上に降ってきます。暖かい季節には、降ってくる途中で融けて雨になります。雨は地表に達したらすぐに流れ始めますが、雪はある期間はそこに留まり融雪期になってからようやく流れ出します。雪や雨は降る所が高ければ高いほど、海に戻るまでの距離や時間が長いので、人の生活のみならず植物や動物にも、流れの途中で多くの恵みを与えてくれます。つまり、山に降る雪や雨は恵みのポテンシャルが高いと言えます。さらに、雪として降ると一定期間は天然のダムとして機能しますので、さらにポテンシャルが高くなります。重力に従って水が流れ始める場所として山はとても重要なのです。そこで、山に降る雪や山の気象を調べるようになりました。
生まれてから高校まで山形県で暮らしましたので、子供のころから山の存在がとても身近で遊びの場でもありました。東北の山は比較的なだらかで標高も2000m程度ですが、信州の山は森林限界を超える3000m級の峰々が連なっていますので、研究対象としても登山の対象としてもとても魅力的です。これまで、南極をはじめとするいわゆる7大陸で、雪や氷、気象などの調査を経験しています。大町市にも現存の氷河が存在することが確認されましたが、それらを含めた山の気象や雪氷、そして水循環についてお伝えしていければと思います。