山博について開館までの歩み
昭和22年5月3日、新しい日本国憲法施行の日、町立大町図書館は公民館として発足した。当時青年団を主体とした若者たちは、終戦直後の混沌とした社会情勢の中で、公民館建設に新しい夢を託して立ち上がりつつあった。この日も一志茂樹氏(当時松本市立博物館長・大町出身・故人)は、「新しい地方文化向上のために郷土の特殊性を生かし、私たちは北アルプスの大自然をもう一度見直さなければならない」と述べ、青年たちをいたく感激させた。
この10月に発表された青年たちの公民館運営の構想の中に公民館郷土部の設置があった。この頃から青年たちは、郷土文化を興隆するためには、町の立地条件から山岳博物館の設置こそ最重要課題であると結論し、それが郷土部の掲げた最高の目標であった。郷土部の青年たちはこの構想に基づいて具体的な行動に移った。 それから5年後の昭和26年11月1日、青年たちの熱意は日本で最初の山岳博物館を誕生させたのである。
山博について沿革
- 初代博物館の開会式
- 初代博物館
- 展示室
1951(昭和26)年11月 | 北アルプスの麓、大町に日本初の山岳博物館が開館 |
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1952(昭和27)年8月 | 博物館法に基づく博物館として登録 |
1953(昭和28)年7月 | 博物館研究会が発足 |
1956(昭和31)年2月 | ニホンカモシカを初めて保護・飼育(岳子:21年間飼育) |
1956(昭和31)年2月 | 機関誌「やまと博物舘」を創刊 |
- 2代目博物館
- 玄関正面の北アルプス模型
- カモシカ「岳子」入園
1957(昭和32)年8月 | 現 大町公園へ大町南高等学校校舎を移築。二代目博物館として開館 |
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1958(昭和33)年4月 | 針ノ木自然園開園に向けて針ノ木調査を実施(~1959(昭和34)年) |
1959(昭和34)年4月 | 博物館研究会が「博物館友の会」と改称 |
1960(昭和35)年8月 | コマクサの低地栽培・研究を5ヶ年計画で実施 |
1961(昭和36)年3月 | 皇太子殿下(現天皇陛下)御巡幸 |
1961(昭和36)年5月 | 爺ヶ岳にてニホンライチョウの調査を実施 |
1961(昭和36)年6月 | 高松宮宣仁親王殿下、雍仁親王妃勢津子妃殿下御成り |
1963(昭和38)年6月 | ニホンライチョウの低地飼育・研究を開始(~2004(平成16)年2月) |
1964(昭和39)年7月 | 『雷鳥の生活』を刊行 |
1964(昭和39)年7月 | 爺ヶ岳周辺にて移動禽舎によりニホンライチョウ親子を飼育(~8月) |
1965(昭和40)年3月 | 秩父宮記念学術賞を受賞 |
1965(昭和40)年6月 | 保護したニホンカモシカの幼獣の人工保育に成功 |
1969(昭和44)年6月 | 飼育下におけるニホンライチョウの自然放卵による繁殖に、日本で初めて成功 |
1970(昭和45)年5月 | 飼育下におけるニホンカモシカの自然繁殖に成功 |
1972(昭和47)年11月 | 『北アルプス博物誌』を刊行(創立20周年記念事業) |
1973(昭和48)年4月 | 日中国交正常化を記念して贈られたジャイアントパンダの返礼として、中華人民共和国へ山岳博物館で飼育されていたニホンカモシカが贈呈 |
1976(昭和51)年7月 | 日本動物園水族館協会繁殖賞を受賞 (ニホンライチョウ 自然繁殖及び人工繁殖) |
1978(昭和53)年8月 | 博物館友の会が「大町山岳博物館友の会」として再発足 |
1981(昭和56)年4月 | ジャイアントパンダの剥製「ランラン」の一般公開が山岳博物館からはじまる |
- 3代目博物館落成式
- 開館記念特別展 山岳博物館の歩み
- 3代目博物館
1982(昭和57)年6月 | 現在の場所に3代目博物館が新館オープン |
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1985(昭和60)年2月 | オーストリアのアルプス動物園と友好提携協定を締結 |
1989(平成元)年6月 | 日本動物園水族館協会繁殖賞を受賞 (ヨーロッパオオライチョウ 自然繁殖) |
1991(平成3)年10月 | 秋篠宮文仁親王殿下御成り |
1991(平成3)年11月 | 『カモシカ 氷河期を生きた動物』を発刊(創立40周年記念事業) |
1991(平成3)年11月 | エベレスト初登頂者エドモンド・ヒラリー氏来館 |
1992(平成4)年2月 | 『ライチョウ 生活と飼育への挑戦』を発刊(創立40周年記念事業) |
1992(平成4)年9月 | 紀宮清子内親王殿下(当時)御成り |
1992(平成4)年9月 | 皇太子徳仁親王殿下御行啓 |
1999(平成11)年2月 | 博物館公式Webサイトを開設 |
2000(平成12)年8月 | 大町市の呼び掛けにより「ライチョウ会議」が発足 |
2001(平成13)年10月 | 『新・北アルプス博物誌』を刊行(創立50周年記念事業) |
2001(平成13)年9月 | 信州大学と合同で白山にてライチョウ生息可能地域調査を実施 |
2004(平成16)年2月 | 飼育下のオスのニホンライチョウの死亡により国内唯一の飼育が途絶える |
2004(平成16)年3月 | 環境省委託事業によるニホンライチョウの近似種スバールバルライチョウの飼育施設視察・資料収集の実施 |
2004(平成16)年9月 | 山岳博物館ライチョウ保護事業検討委員会が発足 |
2005(平成17)年7月 | 大町市ライチョウ保護事業計画策定委員会が発足 |
2005(平成17)年7月 | 信州大学山岳科学総合研究所(当時)と研究協力協定を締結 |
2007(平成19)年6月 | 爺ヶ岳において長野県環境保全研究所と共同でニホンライチョウの生息状況調査を実施 |
2008(平成20)年6月 | 餓鬼岳においてニホンライチョウの生息調査を大町市民らと実施 |
2011(平成23)年11月 | 創立60周年を迎える |
2014(平成26)年3月 | 長野県環境保全研究所と連携・協力協定を締結 |
2014(平成26)年3月 | 全館リニューアルオープン(創立60周年記念事業) |
2014(平成26)年3月 | 大町山岳博物館友の会の支援により公式Webサイトをリニューアル |
2014(平成26)年〜 2016(平成28)年 | 山岳博物館が参加する鹿島槍ヶ岳カクネ里雪渓(氷河)学術調査団による調査実施 |
2015(平成27)年6月 | スバールバルライチョウの飼育開始 |
2016(平成28)年7月 | ニホンライチョウの飼育再開 |
2019(平成31)年3月 | ニホンライチョウの公開再開 |