令和8年度 市立大町山岳博物館 特別展ボタニカル・フォトアートで見る雑草の機能美

会期:令和8年(2026)7月4日(土)~ 9月13日(日)

開催にあたって

いがりまさしさんは、これまで、数々の図鑑や写真集などを世に送り出していますが、平成に発刊された「日本のスミレ」(山と溪谷社)は、日本全国のスミレを網羅的に収録されたもので、特に花柱の形状や毛の有無などをクローズアップした表現が画期的で、大変な注目を集めました。そして、令和の現在に至ってもそれを凌駕するまでの図鑑を目にすることはありません。続いて、発刊された「日本の野菊」(山と溪谷社)においても、関心は高く、今尚、多くの方から受け入れられています。 そしてこの度、ボタニカル・フォトアートを駆使した新スタイル図鑑「日本のネコノメソウ」が発刊されました。

この新スタイルを取り入れた図鑑では、1ページに花序、個花、花茎、茎葉、根生葉などが収められていて、一目でその種の特徴を捉えることを可能にしています。図鑑の機能にアートを融合させるという大胆かつ繊細な発想は、これまで培ってきたいがりさんの世界観が原動力になっているのだと思われます。

本展では、雑草と言う何気ない植物にフォーカスした作品約25点を展示し、作者の視点からその機能美について紹介し、自然の奥深さを訴えかけるもので、これまでにないアートの世界をご堪能いただけます。

なお、本展の開催にあわせ、関連催しとして会期中にいがりまさんによるギャラリートークや小学生向けのワークショップを開催します。こちらの関連催しにも、ぜひご参加ください。

令和8年7月4日
市立大町山岳博物館

ごあいさつ

植物を写真に撮るアプローチには無限の方向があります。わたしが常に心がけていることは、「そこに咲いているように」表現することです。それは「花」をオブジェとして捉えるのではなく、自然の中に生きている生命として捉えようとするスタンスと深く関係しています。

一方で、図鑑的なニーズでは識別に役立つように各部のクローズアップも必要です。1996年に刊行した『日本のスミレ』の取材の時に、どちらかといえば編集者に言われて非積極的にそんな撮影を始めたのですが、特にその柱頭の写真は専門家の間でも意外な評価を得ました。当時は生の植物を対象にそのようなクローズアップを撮影するには専門的な機材と技術が必要でした。

その後、デジタルカメラや周辺機器の進歩で、そんな撮影も飛躍的に簡単になりました。そんな現代的な撮影技術を活かす手法のひとつがボタニカル・フォトアートです。

各部のクローズアップや分解写真、茎や果実の断面などを1枚のシートに編集してまとめたものです。最初は「わかりやすさ」を重視して始めたこの手法ですが、やってみるとそれは意外にも美しいものでした。18世紀の西洋で植物学のための植物画が「ボタニカル・アート」と呼ばれるようになったのとまったく同じです。

また、普段は見向きもされないような雑草が、ボタニカル・フォトアートにしてみると見栄えがすることが多いのも目から鱗でした。

すべての植物のすべての器官の形態にはそれぞれ意味があるはずです。長い進化の過程で不必要なもの、無駄なものは淘汰されてきたはずだからです。その形に意味がないように見えるとしたら、人類がまだ気づいてないだけではないでしょうか。その究極の機能を秘めた形は、考えてみれば美しくないわけがないのです。

本展が、そのカタチから、雑草の生活戦略、繁殖戦略、ひいては自然のシステムの奥深さを紐解く、糸口になれば幸いです。

会期令和8年7月4日(土)~ 9月13日(日)
開館時間午前9時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
会場市立大町山岳博物館 特別展示室
観覧料大人450円 高校生350円 小・中学生200円 ※団体割引は30名様以上から。その他の割引につきましてはお問い合わせください。
主催市立大町山岳博物館

1960年 愛知県豊橋市生まれ。植物の生命としての美しさを映像で表現する一方、超アップを駆使したわかりやすい図鑑写真にも積極的に取り組んで現在に至る。近年では、PlantsIndex制作のほかに、日本の野菊の撮影、調査、ロシア中国など、近隣諸国のスミレの撮影、調査などにも取り組んでいる。

著書に写真集「野の花の小径」(山と溪谷社)、写真集「風のけはい」(文一総合出版)、「日本のスミレ」(山と溪谷社)、「フィールドマップ日本の野草」(※写真担当)(インターリミテッドロジック)などがある。

特別展 関連催し

ミュージアムトーク

作者の、いがり まさし さんが作品について解説します。

期日7月4日(土)
時間午前10時~・午後2時~(2回)
会場当館 特別展示室
費用通常の観覧料(常設展と共通)が必要です。
申し込み不要

ワークショップ ~さんぱくこども夏期だいがく~「ボタニカル・フォトアート」スマホアプリで簡単作製術!

いがり まさし さんを講師に、スマホのアプリを使って作品を製作する体験をしてみましょう。

期日8月11日(火・祝)
講師いがり まさし さん
時間午前10時~正午
会場当館 講堂と博物館周辺
対象小学生とその保護者
定員10組
費用参加無料
申し込み要事前申込(受付開始日:7月4日(土)~) ※事前に自宅で必要なアプリ(無料)をインストールしていただきます。iOS、Androidいずれも可。スマートフォンでもタブレットでも構いません。PCは基本的に不可。

関連資料

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